芸術
November 03, 2019
文化の日
*文化の日:11月3日の祝日。明治時代は天皇の誕生日として天長節、その後に
明治節に変わったが、第二次大戦後は平和と文化を推進する日となり
文化の日と定められた。秋の季語。
☆つぶやき...
アンフォルメル(Art informel、非定型の芸術=激しいまでの抽象絵画を中心とした美術表現
の一種)の画家の作品を見ながら、妙に絵心が刺激された。大胆かつ鮮明な色と形の表現は
理解不可能としか言えなのだけれど観るこちら側の感覚を振動させるエネルギーがあった
らしい。恒例になった「文化の日」芸術施設の無料開放へのお出かけ。
凝り固まって動けないでいた奥底の何かも動かしてしまった...かも。
動いてしまったからには、動かしてあげるしかない。
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mak5 at 20:15|Permalink│Comments(0)│
September 24, 2019
Open something... at Shun Sudo - Open Studio
アーティスト Shun Sudo(須藤 俊)氏の作品だ!
とひと目でわかる大作が、純白の広々とした空間に浮かび上がる。
キャンバスという窓に二次元で描かれた花や緑達が、窓外で三次元となって舞い踊るように。
9日間という時間で描き出されたこの作品に最後の筆が入ったのは8日目の夜のこと。
オープンスタジオ最終日の訪問で、活き活きと咲く生まれたての花達の瑞々しさにあやかる。
まずは今回の作品の堪能時間からのはじまり。
なぜか、全身にはなつかしさがほのかに湧いてくる。
墨絵のごとき黒い線描はスプーンや指先を使って描かれたものという。
そして、その上には鮮やかに色づく草木や花。
遠慮やブレを感じない線と色の野太さは、画家そのものに感じた第一印象、
「グラウンディングができている者」の表出にも観えてくる。
2週間ぶりで2回目のご対面となったShunさんは、最初の印象のままオープンな方である。
(トレードマークの全身黒で統一のおしゃれもそのままだったのだけれど^^)
やわらかな物腰は、今ではもう一つのベースであるNYでお会いしても変わらないのだろうな.....
と心のつぶやきそのままに
「次はNYでお会いしましょう」と正直に伝えてみたところ、
優しい瞳が大きく開いて、笑顔とともになんとなく歓迎されたよう(と思っておく 笑)。
きょうの楽しみは新作だけではない。
新作観賞と同じくらいに楽しみにしていたこの空間で許された落書きお絵描きに突入する。
期間中にいったいどれくらいの人達が描いたのだろう。
そここで奔放なまでに散らばる絵の具や筆はアート作品の一部のように、そこに在った。
頭の中を空っぽにして...湧き出たベースの色を絞り出してみると
「蒼。」
....やっぱりそうなんだ自分の色は、と心の中で独り言を言いながら。
雑に、けれど、丁寧に作り上げた蒼の背景の上に何気に描き出したのは、ハート形の花びら達。
考えることもなく次々絵の具を捻りながら重ねて出来上がる、フクシア色のバリエーション。
このままいくと筆が止まらない!という感覚をあえて制止して出来上がったのは
名もない心色の花一輪だった...
”夢中”が創り出した濃く鮮やかな色合いは、無意識の私色なのかもしれない。
意外と情熱的だったのね自分、と再発見した気分。
20分の夢中時間から覚めたあと、
他の来訪者の作品をあらためてじっくり観賞してみると、
いわずもがなの十人十色、それぞれの世界が、白の空間に星々のように煌めいて並んでいる。
Shunさんが描き出すテーマは常に『POP、POWERFUL、PEACE』という。
その想いに感染したかのように、いや、引き出されたかのように
それぞれのお絵描きがそれぞれの『POP、POWERFUL、PEACE』を
同じこの空間で、目いっぱい力いっぱい描き出している。
どこかなつかしい...。
赤いダリアを描いたあの頃の前後数年は、数え切れないくらいほどの絵を描いていた。
そして、
まだ小学生で幼いとはいえ同級生達とは確かに異なる色彩感覚を持っていた自分を思い出す。
すでに遠慮しすぎるくらいに遠慮を知るこどもだったけれど、
今より遥かに自由で自分を隠さない表現をしていたあの頃。
20分間の夢中は、あの当時の自分、もっと好きな自分という者に感触を持って再会したようで
こころはピースフル(安らか)な感覚で満たされていく。
NYの旅つながり、友人つながりで辿り着いたきょうのオープンスタジオ。
Shun Sudoという人が持つ空気と力が丸ごとつまる時空間で描いた絵は
忘れていた私の『POP、POWERFUL、PEACE』の表れ。
あの日に描いた紅いダリアによく似た構図がそれを物語っている。
ありがたいなぁ・・・。
Shunさんという素晴らしいアーティストと、縁をつないでくれた友人と、
この場での新しい出会い達、そして、多分、
B面として、きょうという日の邂逅で一番嬉しかっただろうあの頃の私との再会。
新旧のあらゆる出会いにそっと感謝して、私の中の新旧の扉を開く...
芸術の秋の始まり2019秋分の日にて。
**cube14さん、写真撮影までしていただきどうもありがとう!
何気にShunさんポーズを真似してみた 笑。
*須藤俊(Sudo Shun)
アーティスト。
東京生まれ。アメリカンポップカルチャーの影響を
強く受け、20代に全米を放浪し、帰国後、30代前半から
絵を描き始める。母国である日本文化と旅で触れた
米国ストリートカルチャーの体験が創作の原点であり、
対極にあるとも言えるそれぞれの文化のリフレクション
がShun Sudoの世界を創り出している。
( ONISHI GARELLY, NYC:
Shun Sudoプロフィールより抜粋)
mak5 at 21:32|Permalink│Comments(0)│
April 30, 2019
meet the Girl...myself
どれだけ好きなのだろう、いったい。
出会って以来心の中に住み込んでいる少女に会いに行った。
"meet the collection" at Yokohamaへ。
なん年ぶりでの再会なのか....思い出せるような、思い出せないような。
出会いは2012年、ちょうど作品が生み出された年。場所はこの美術館だった。
”奈良美智展『君や 僕に ちょっと似ている.』”
この眼差しと色彩が伝える雰囲気と感情が、記憶に残る幼い頃の自分の姿に重なった。
そして、今もなお、大人になった自分のキャラクターとも重なるからなのだろう。
愛おしさが湧いてやまない ” 春少女 (Spring Girl) ” by Nara Yoshitomo
離れがたい。
前髪ぱっつんにカットされていた幼女たる自分がそこにいるようで。
何度も正面から斜めから見つめて、立ち位置や距離で変わる表情や色彩の変化を
心もようの変化と照らしせ合わせながら好きのわけを確かめる。
『meet the collection - アートと人と、美術館』
平成元年に開館した横浜美術館の30周年を記念する大コレクション展である。
幾度となく展示され愛され続ける所蔵品と現代の新たな才能であるアーティストらの作品とが
コラボされた空間には400点余りが展示され、
「LIFE:生命のいとなみ」「WORLD:世界のかたち」のテーマの下に全7章で構成されている。
テーマごとに変わる展示室の壁の色も居心地の良い空間を創造し、
作品達の魅力をさらに引き立てている。
もう一つ長居した作品と部屋は、メインに紅色と黄金色を配した「いのちの木 (the tree of life)」。
展示室全体を一つの作品として創造した淺井裕介さんの世界は圧巻である。
巨大な”いのちの木”の枝に幹に、そして、木が植え込まれる大地たる床に散りばめられた
長谷川潔、シャガール、駒井哲郎等の油彩、版画、彫像が
一つ一つの身体と全く異なるそれぞれの個性を持ちながら息づいている。
じっと佇んでいると呼吸が深くなる。わたしのお気に入りの空間になる。
時代やジャンル、表現素材の異なる作品と向き合うのはいつも以上に身体エネルギーが消耗する。
半分ほど観賞するうちに疲れを感じて小休憩。
観終わった作品達から得た感動というエネルギーを身体用に変換して充電する。
ピカソも許してくれるだろう。
作品に写り込む非常口サインは、写真撮影OKのご愛嬌。
きっかけは ”少女”に会いたくてだったけれど、
30歳を迎えた美術館が持つ性格と個性にも会えた大所蔵品展"meet the collection"。
会えたものの中には、多種多様な表現と才能に触れるうちに見つける
自分の中にあるいくつものよく似た個性や感情もそこに有った、確かに。
”meet the collection”は”meet my own qualities”。
平成最後のうちにできた彼女との再会、そして、
自らという人を振り返るわが平成反省会の時空間にて。
***
横浜美術館
『meet the collection ー アートと人と、美術館』
2019年4月13日(土)〜6月23日(日)
:サブタイトルは「アートと人と、美術館」。芸術品を通して作家と鑑賞者を結び、
両者つまり万人にある個別の才能を引き出し結ぶ空間としての美術館....
タイトルからはそれぞれの翻訳が生まれることでしょう。
いくつかある私なりの翻訳のひとつです。
mak5 at 12:42|Permalink│Comments(0)│
April 26, 2019
春花
*春花:春咲く花。春の花。しゅんか。花といえば一般に桜のこと。春の季語。
☆つぶやき...
平成のうちに再会できて嬉しかった。この絵が大きなきっかけとなり
奈良美智さんの大ファン(同郷というのも大きいけれど)になった。
meet the " Spring girl" at "meet the collection" in Yokohama Museum of Art...
平成最後の喜びの一つ^^)
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mak5 at 20:13|Permalink│Comments(0)│
February 17, 2019
音浴… 「ピアニスト」向井山朋子展
曇り空、陽が落ちきる前の夕暮れ時。
瓶底のぶ厚いガラス張りのメゾンの中は、
街を彩る夜の灯りが放つ色で照らされていました。
どんな音が待っているのだろう…”初体験”のときめきでやって来た展覧会
「ピアニスト」向井山朋子展。
会場に到着するとすでに
鍵盤が持つ音をひとつひとつ確かめるように、のんびり叩く音が鳴り響いている。
開演前の練習というその調べは、調律でもするかのように単調
であるけれど、彼女の身体に流れている音なのでしょうか、
一音一音にこもる体温が静かな場にも伝わります。
アップライト、グランドと、展示された様々なフォルムのピアノ達の隙間に、
三々五々で集まる鑑賞者もそれぞれのポジションに佇みながらじっと耳を傾ける。
楽屋に戻ったピアニスト、今宵の美しきパフォーマーが再び
明るいフクシア色のイブニングドレスで現れると、
さあ、本番の始まりです。
かすかに低くゆるやかに、時にコンマ数秒途切れる鍵盤の音...
主旋律に低い不協和音も時折混じる。
はじまりの数分は
音符のひとつがどこかにポンと跳ねたり、行方不明になったりでどこか凸凹している。
荒さも味になった旋律は、徐々に加速しながら研磨され滑らかになる。
弾くほどに、音は和して共鳴して
まるい和音に変わる....成長する...感じ。
澄み切った、整った一つのモノに生まれ変わった主旋律と伴奏は
攻めようのない完璧な音楽となって
滔々と流れながらこの空間の時を紡ぐ。
ピアノの奏でに混じりながら、
途中途中で混じる聴き慣れた音達。
コートに鞄が擦れる音、柔らかなゴム底のスニーカーが立てる足音...
会場カメラマンが切る消音シャッターの音....
メインストリートを走る救急車のサイレン...
日常の生活音も演奏の一部になる。
息切れしないどころか、演奏の終わりも見えないほどに
増していく奏者のエネルギー。
やわらかく、力強く、朗々と…なみなみとこの場を満たしていくように
途切れないスタミナで弾ききる60分を超える一曲。
どっぷり浸った自由な音の海の底から聴こえたのは
「脱ぎ捨てる...脱ぎ捨てよう」
のメッセージ。
その言葉を受け取ったのは私だけなのだろうか。。。
アートギャラリーの床に腰を下ろしてピアノ演奏を聴く。
少々特殊な状況に置かれた空間では、
聞こえないはずの声も素直に受け取ってしてしまう。
ひとりで、ふたりで...
集まるのはそれぞれまったくの見知らぬもの同士。
これからもすれ違っても記憶にないだろう同士で埋め尽くされた会場の
共通項はただひとつ、
この演奏を聴くということ。
それぞれが纏うそれぞれの空気は、
彼女の全身を通して伝えられる旋律を浴びて
ゆるやかに一つになる...完全な輪になる...
まるで一人の人の個々の細胞が息づいて
それぞれ自由自在にそれぞれの機能のを自然に働かせながら呼吸しているような
ただ一人ヒトになる...奏者も聴衆も共にで一人の人に。
余韻
というものを指の触感をもって掴みとる、というのはこのことだろうか。
終わりが見えない、いや、このまま終わらないでとさえ
心の片隅に湧いていた想いも自然に終わらせてくれるように
最後の音が作る波動が滑らかにそれぞれの者達の内奥に消えていく、しんと。
照明はピアノ前のスタンドだけ。
まだ薄暗い部屋が微笑みで満ちる…のが見えた気がした。
スタンディングオベーションで、万雷のだけれど耳心地良い上品な拍手がギャラリーを満たす。
奏者である向井山さんの麗しい、ちょっとはにかんだ笑顔が
溢れる笑顔達の中で可憐な華を咲かせる。
立春の日から始まり、1日に1度だけ時計の針を進めるように
毎日1時間ずつの時差で1日に一度だけの演奏が行われる。
最終日の2月28日の演奏が終わるのはちょうどお昼頃。
これから南中を迎えようとする太陽の明るさの中では、
宵には決して出会えない音を浴びることになる...の期待は否めない。
余韻といえば、あれから8年...
隣室に展示されるのは東日本大震災の津波被害から残った2台のグランドピアノ。
鍵盤は何か所も歪んで不揃いのまま、流されただろう脚は真新しい白木に生まれ変わり、
かろうじて残ったフレームを覆う白布が照明のない部屋で白く浮き上がる。
きょうの新しき余韻と、過去から半永久的に向けても続く古き余韻。
清々しさとどこか重さを伴う余韻を胸の底に記憶しながら
初体験の時空間を去る.....
音に浴して
この長い冬の寒さから心を癒す、遠からじの春に向かう心立つ宵にて。
:::::::::::::::::
時間と空間の変化を音で観察する、感受する。
これが一つの実験であるならば、その結果を知りたいとも思う展覧会です。
*『ピアニスト 向井山朋子展』
@銀座メゾンエルメス フォーラム
プロフィール(展覧会HPより抜粋)
向井山朋子 Tomoko Mukaiyama:
ピアニスト/美術家。オランダ、アムステルダム在住。
1991年、ガウデアムス国際現代音楽演奏コンクール優勝。
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(オランダ)、ニューヨーク・フィルハーモニック
(米国)をはじめ、世界の楽団にソリストとして招聘され、新作の初演に携わっている。
近年は従来の形式にとらわれない舞台芸術やインスタレーション作品を発表。
mak5 at 17:02|Permalink│Comments(0)│