つれづれなるままに・・・meteorologist, announcer, narrator, writer : miura mayumi Officical blog.

美術館

April 30, 2019

meet the Girl...myself



どれだけ好きなのだろう、いったい。

出会って以来心の中に住み込んでいる少女に会いに行った。


"meet the collection" at Yokohamaへ。



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なん年ぶりでの再会なのか....思い出せるような、思い出せないような。

出会いは2012年、ちょうど作品が生み出された年。場所はこの美術館だった。


奈良美智展『君や 僕に ちょっと似ている.』”


この眼差しと色彩が伝える雰囲気と感情が、記憶に残る幼い頃の自分の姿に重なった。

そして、今もなお、大人になった自分のキャラクターとも重なるからなのだろう。

愛おしさが湧いてやまない ” 春少女 (Spring Girl) ” by Nara Yoshitomo


離れがたい。

前髪ぱっつんにカットされていた幼女たる自分がそこにいるようで。


何度も正面から斜めから見つめて、立ち位置や距離で変わる表情や色彩の変化を

心もようの変化と照らしせ合わせながら好きのわけを確かめる。



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『meet the collection - アートと人と、美術館』

平成元年に開館した横浜美術館の30周年を記念する大コレクション展である。

幾度となく展示され愛され続ける所蔵品と現代の新たな才能であるアーティストらの作品とが

コラボされた空間には400点余りが展示され、

「LIFE:生命のいとなみ」「WORLD:世界のかたち」のテーマの下に全7章で構成されている。

テーマごとに変わる展示室の壁の色も居心地の良い空間を創造し、

作品達の魅力をさらに引き立てている。



もう一つ長居した作品と部屋は、メインに紅色と黄金色を配した「いのちの木 (the tree of life)」。



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展示室全体を一つの作品として創造した淺井裕介さんの世界は圧巻である。


巨大な”いのちの木”の枝に幹に、そして、木が植え込まれる大地たる床に散りばめられた

長谷川潔、シャガール、駒井哲郎等の油彩、版画、彫像が

一つ一つの身体と全く異なるそれぞれの個性を持ちながら息づいている。


じっと佇んでいると呼吸が深くなる。わたしのお気に入りの空間になる。



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時代やジャンル、表現素材の異なる作品と向き合うのはいつも以上に身体エネルギーが消耗する。

半分ほど観賞するうちに疲れを感じて小休憩。

観終わった作品達から得た感動というエネルギーを身体用に変換して充電する。



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ピカソも許してくれるだろう。

作品に写り込む非常口サインは、写真撮影OKのご愛嬌。



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きっかけは ”少女”に会いたくてだったけれど、

30歳を迎えた美術館が持つ性格と個性にも会えた大所蔵品展"meet the collection"。

会えたものの中には、多種多様な表現と才能に触れるうちに見つける

自分の中にあるいくつものよく似た個性や感情もそこに有った、確かに。



”meet the collection”は”meet my own qualities”。


平成最後のうちにできた彼女との再会、そして、

自らという人を振り返るわが平成反省会の時空間にて。



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***
横浜美術館
『meet the collection ー アートと人と、美術館』
2019年4月13日(土)〜6月23日(日)

:サブタイトルは「アートと人と、美術館」。芸術品を通して作家と鑑賞者を結び、

 両者つまり万人にある個別の才能を引き出し結ぶ空間としての美術館....
 タイトルからはそれぞれの翻訳が生まれることでしょう。
 いくつかある私なりの翻訳のひとつです。










mak5 at 12:42|PermalinkComments(0)

June 24, 2018

らせん…(Guggenheim)


ついに入る事が出来た。。。

Guggenheim museum。


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迎えてくれた特別展のスーパースリムな彫像達。

影絵のような細身は少し神経質そうだけれど

私達の体内を観るようで体温を感じる。


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リアル人間と並ぶ姿に違和感はない 笑。



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この美術館の独特な螺旋状の建築方式が作る回廊を歩き

ゆっくりと螺旋を描きながら壁面に並ぶ展示を鑑賞する。



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(彫刻作成のためのデッサン)



40年以上人体を見つめ、創作のテーマとしたAlberto Giacometti。

どこかで見たようで、初めて知る彼の一連の作品は、このグッゲンハイムによく似合う。

まるで彼のための美術館であるようだと思えてしまうほど、

前衛的な設計と、誇張はあれど人体の本質を見せる彫刻は見事な調和をなす。



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回廊の一角にはいくつかの個室の展示室が備えられ

一室には、美術館が所蔵する油彩画達が待つ。




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ピカソ画伯 にしてはわかりやすい構図。



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惹かれた青い帽子の女。

赤の塔には東京タワーを思い出す。




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ゆるりぐるりの芸術観賞のエクスカーション。

気づけば1時間以上が経っていた。


少し急ぎ足の旅だったけれど、満足という気持ちが心を満たす。

入館前からすでに美術館含めたワンブロックを囲む長蛇の列から始まったぐるり旅。。。


行きはそこそこヨイヨイ、帰りは良い。

ぐるりぐるりと歩むうち、溜まっていた心労の絡まりはほどかれる...

グッヘンハイム美術館入館ついに達成!の日にて。





**
毎週土曜日はpay for what you wish。観光客を中心に度激しく混むのも名物であり、
ご近所の高級アパートメントのドアマン達もその都度の列の増減の変化を楽しみにしている様子。
出かけるごとにあまりの人の多さに撤退、が続きましたが今回は割とすんなり。
出かけるなら日没が遅い夏のほうがよろしいようで...
.外で日長を楽しみたい方が多いですからね。



71C66FD5-0939-4E93-A5B6-B1664529CD8E **Alberto Giacometti:
 スイス出身の20世紀の彫刻家。
 彫刻家(細長い人物彫像が特徴的)として
 知られるが、絵画や版画の作品も多い。
 日本国内の所蔵として:
 裸婦立像(富山県立近代美術館)
 女性立像(徳島県立近代美術館)
 腕のない細い女(箱根彫刻の森美術館)
 









42000D87-6D48-45DC-B0A4-2A637CBD7400** Solomon R. Guggenheim Museum
    1071 5th Ave, New York,
    NY 10128

mak5 at 23:00|PermalinkComments(0)

June 05, 2018

纏う... (FIT)


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ファッションの街、でもあるここは。

訪問したくてもできていなかった美術館に出かける。



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アメリカ建国当時からのもの含めて

この国の歴史にも関連するあらゆる時代の服飾をコレクションしているのだろう、

手作業の緻密な針づかいの刺繍が施された靴がまず目に留まる。


ドレスのドレープの細やかさもそう...どれだけの時間を費やしたのだろう。

幼い頃、観賞用に与えられていたフランス人形を思い出す。

あこがれの象徴であった人形は、

10頭身に長い手脚、凜として愛らしい顔立ちと

洗練されたレース使いのドレスを纏っていた。



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ETRO...ではないけれど、控えめな豪華さが際立つエトロプリントに似た模様と色使い。

唯一気になるハイブランドと同様の贅沢な生地を思い切り使ったドレス、

そして、余った生地で仕立てたという紳士用スーツ。

豪華すぎるペアルックに薄暗い館内でひそかにうっとり...。


このスーツは、おしゃれだった母の

フォーマルな場用のスーツに似ている生地とデザインだな...



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今回のテーマは「未完」という言葉で表現できるセレクションだった。

一見すると完成品であるが、制作途中でストップされたものだったり

着古されて擦れていたり、糸がほつれたままだったり…。



Comme de garcon by Rei kawakubo。

ニットながら布のように軽いフォルムの、グランジなデザインは

多くのデザイナーに影響を与えた彼女らしい一枚。

これも制作途中なのだろうか...
(残念ながら、写真を撮り忘れました!!)


いずれにもその洋服一枚一枚の持つ人生を見せられているよう。


完成した際にはまた別の厚みで持って

観るものを魅せているのだろう。



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このコートは布地も形も、私の心にジャストフィット&ミートである。

欲しいなぁ。。。




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展示数は少ないけれど、一点一点に流れている時間という歴史を垣間見せる空間は

あらゆる時代の時空を凝集したような濃い空気が流れている。



観光客だけではない、

さりげなくおしゃれな人達もじっくり観察するように鑑賞している

The Museum at FIT....


本場欧州のファッションも凌駕し、あらゆる国のデザインが集まる

世界のファッションの中心でもあるこの街。

その雛形を観たような、

ファッション工科大学の一角にある小さな小さな、

それぞれの服が醸し出すその時代の風味が溶けた濃密な空間である。




***
The Museum at FIT

 ADMISSION to exhibitions is FREE.
 Address
 7th Avenue at 27 Street
 New York City,
  10001-5992







mak5 at 23:30|PermalinkComments(0)

June 02, 2018

和... (Noguchi Museum)


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何処に居ても、こころの片隅には母国がある。


6月最初に訪れたのは” Noguchi Museum "

日系アメリカ人であるイサム・ノグチ氏の作品は、どこか懐かしさを感じる。

わたしには多分に抽象的過ぎるのであるけれども、

彫刻のフォルムの端々に、色合いに、馴れた匂いがある。



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特別展示は『AKARI』。



大小、形も様々な見慣れた提灯には

幼き頃の夏祭り、故郷のねぷたや祭りに付き物の金魚提灯の

温もりの記憶が走馬灯のように巡る。



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「和」は「輪」から成る

「和」は「輪」を作る

「輪」になる。。。



和と表される国にあるのは「輪」からなる文化...

見慣れたあかりに見る、それを。




アメリカで生まれ、日米で育ち、

日本文化も深い襞(ひだ)で精神に織り込んでいた彼の人生の中にも

あかりは

和特有の体温を持って息づいていたのでしょうか。



彫刻家として、灯篭を彫刻の一つに表現するのは

突飛なようで自然にも思えてくる。




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カフェでもあるミュジアムショップは

日本のリビングに居るよう、

和の空気が流れる...



倭とも呼ばれた和の国は輪を作る。

日米に終わらない、あらゆる国の人々が集まるここはまさに

「和=輪」の時空間である...。




片隅の日本がきょうは大きく心を包み込む...。


侘び寂び...の美に、あらためて敬愛する

異国の地の日本時空間にて。




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 ** Noguchi Museum
  9-01 33rd Road (at Vernon Boulevard),
  Long Island City,
  NY 11106







mak5 at 23:30|PermalinkComments(0)

May 28, 2018

Light...

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曇った日には、気分は落ち着く…

けれど、明るさが欲しくなる気分。



ここを訪れた日は、前回も曇っていた。。。記憶がある。

館内に入ると、光の泉をそここに見つけた。



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琴線のごとき繊細な光の糸達。

気分にも、光が差す。


特別展示のテーマは“光と音” (Transformer: Native Art in Light and Sound)。


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光とデジタルプロジェクションを通して、ネイティブの伝統的文化と

支配的文化(非伝統的であり、現在で彼らの中でも優位性ある文化)のはざまにある

彼らの立ち位置を反映している芸術は、

その表現と意識に、何かに向けた挑戦的な強さを感じる。



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見上げれば、天井にも光の芸術の美が眩しく光を発散させていた。。

電灯だけではない、この歴史的建造物も館内360度で意匠が凝らされている、

手抜かりなく。



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灰色の空の日は、心の色も中間色になる。

けれど、光を見ようとすれば光はどこにでもある…

漆黒の闇の中にさえ。





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少しぼんやりとした夕前の曇り空の明るさが、

いつもの曇り空より嬉しい…


メモリアルデー Memorial Day (戦没将兵追悼記念日)にて。





**
Memorial Day:
 US国内の南北戦争で亡くなった北軍兵士を称えるために始められた記念日であり、
 第一次世界大戦の後のあらゆる戦争、軍事行動で亡くなったUSの兵士にも拡大。
 

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 National Museum of the American Indian
  1 Bowling Green,
 New York,
  NY 10004

mak5 at 23:00|PermalinkComments(0)