感想
June 26, 2013
雨の降る日には・・
竜宮ホテル (徳間文庫)
メリハリの大きい今季の梅雨。
長過ぎる晴れ間のあとも、
降れば流石に心の深い所がしっとりする。
梅雨時の湿気たっぷりの雨には、
メランコリーにする薄い孤独感がある。
そんな雨の日に読むなら
『読後に読者を幸福にするものであるべき』
物語がいい。
この物語は、そんな読後感が温かくて
『世界にはこんなに愛と幸せにあふれた物語りが
あるんだよ』と伝えたくなるような物語が描ける
作家・子守響呼がヒロイン。
やわらかな幸福感に満ちる作品の一方で、
響呼自身は、自分に関わる者全てが不幸になる、と自己の存在を
強烈に否定しながら世間に対して心を閉ざして生きていた。
その閉鎖性を強化するような”あやかし”- 目に見えない存在が見える -
の瞳を持ちながら。
一歩外に出ればそこそこ人気の女流作家だが、極力目立たず生きて
いたい、そんな彼女の日常に突如起きた住んでいたアパートの崩壊騒ぎ。
一瞬にして居場所を失った響呼は、ある2つの出逢いに導かれるように
して『竜宮ホテル』で暮らすことになる。往年のハンサム俳優かつ作家、
妖怪の猫少女、未来からやって来た美少年、亡霊達...と
心優しく不思議なバックグラウンドを持つ人々と存在が暮らす、
絵に描かれたようなクラシカルなホテルに。
そこで繰り広げられる人間関係や出来事は、
不可思議、魔法チック、超常現象的な事の連続です。
しかし、その非論理的ゆえに砂糖菓子のような
ほのかな甘さと匂いが一貫して物語を包み込む
浮遊感満ちたお話ではあるものの、
スーパー・ファンタスティックなお話では終わりません。
孤独を清々しく消化しながら独り生き抜こうとする
響呼のハンサムガールな現代的生き方も、
この物語にあふれる”夢うつつ”感を支えています。
何より私の胸に一番響いたのは「ていねいな日本語」でした。
全ての登場人物が話す美しい日本語は
物語に流れている幸福感の濃度を増しています。
読むなら『読後に読者を幸福にするものであるべき』本がいい....
梅雨も後半、残り少ない長雨の雨の降る日に
この1冊をお手にとってみて下さい。
*こちらでもどうぞ:J-CASTニュース『BOOKウォッチ』
March 31, 2013
言霊
言霊(ことたま)のゆくえ [新書]
「ありがとう
いつもい君にいわれし言葉を
きょうきみに
おくる....ありがとう」
弥生三月、友人の送別会にて
短歌をたしなむ一人が贈った一首です。
シンプルな言葉の連なりには
寂しさと感謝の気持ちが満ち満ちていました。
日本語って美しいことばだな....
意識も心も気持ちも感情も、見えないものが
美しい文字にすべてこもっている。
と、ずっと思っていました。
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March 20, 2013
何もない。
『 .....神去村(かみさりむら)には何もない。
遊ぶ場所もコンビニも服屋も食べ物屋もない。
あるのは村を何重にも取り囲む山また山。......』
ほぼそんな場所に育ったせいか、
主人公・勇気の長い自己紹介を読むうちに
”神去村”の世界にすんなりと入り込みました。
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遊ぶ場所もコンビニも服屋も食べ物屋もない。
あるのは村を何重にも取り囲む山また山。......』
ほぼそんな場所に育ったせいか、
主人公・勇気の長い自己紹介を読むうちに
”神去村”の世界にすんなりと入り込みました。
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December 22, 2012
December 20, 2012
童心
ちょっと恥ずかしい...
素直には、ちょっと...
ついついポーカーフェイスになりつつ....
いつもは隠している
ひとみな本来
満タンに持っている
『優しさ』に、
満ち満ちる
あふれでる
優しさ温度の空気の季節・・・
ホリデーシーズン(クリスマスシーズンとも言う)という言葉が
ぴったりのこの季節の氣が大好き。
この季節の到来は何があっても楽しみです。
”おとうさんがサンタクロース”のあなたにも、
”恋人がサンタクロース”のあなたにも、
”自分がサンタクロース”のあなたにも....
こんなお助け人が来てくれますように。。。
(ほんとうはいつもそばに居てくれる....気づけないだけで^^)
ベストセラー『おたすけ小人』シリーズのクリスマスバージョン。
このお話とキュートなイラスト、そのものがプレゼント....。
おとなも子供も想像力が膨らむ、程よい台詞がいい〜感じです。
『....みんな束になってうちにおいで〜』(とつぶやいたのは、わたし・・・)
なぜかミニカーが好きだった頃のこころ...童心にちょっと帰る一冊でもあり。。。
**
おたすけこびとのクリスマス(徳間書店)