天才スピヴェット
November 24, 2014
天才とは・・
有形無形のカタチになる。
それは”天才”と評される者達に顕著に伺える
共通する資質の一つ。
米モンタナ州、広大かつ長閑な牧場で暮らす少年が、
慣性の法則を使った世紀の発明により
スミソニアン博物館の権威ある科学賞を受賞・・・・。
発明者はT.S(スパロウ)スピヴェット、
年齢10歳、小学校6年生。
木登りが好きで、ハロウィンのラタンが恐くて夜のお手洗いに立てない
どこにでもいる男の子。ですが、探究心と追求心に愚直なまでに正直、
好奇心の琴線に触れたものは、徹底して科学し結論、結果を出す天才児。
超越した賢さは学校はもちろん、家族にも理解不能の域に達しています。
双子の兄でもあるのですが、かたわれである弟の死をきっかけにして
普通の子供としての心の部分は、意識の奥底で死に絶えます。
彼のみならず、父の、母の、そして姉、それぞれの記憶と心の深い所で傷を負う出来事で。
登場人物それぞれのエピソードの一つ一つを繋ぐ糸の役割を果たすのは、
授賞式のあるワシントンDCに向かうための壮大なる家出、
米大陸の西から東への大横断の旅でした。
旅の途中で巡り会う人の言葉に表情に、彼自身の回想に、とんでも系の出来事に、
彼の哀しみや寂しさは癒されていくのですが....。
監督は『アメリ』、オドレ・トトゥーのコメディエンヌとしての才能も開花させた
秀作を生み出したピエール・ジュネ氏。
自然色だからこそ出る、豊かで鮮明な色彩風景の中で、
T.Sをはじめとした登場人物達の心の色も、
控え目なものの鮮やかに描き出されます。
圧巻は、エンドロールの登場人物それぞれの一言、または表情、と言いたいところですが、
”....水滴の経路は....”
授賞式後にT.Sのモノローグで語られる”水滴が持つ秘密”という科学的な事実は、
わが心にしっかりtake noteしたフレーズです。
いかなるモノも創り出せる。
想いも情熱も創り出す力も、その化学反応を起こす力も、
それは誰しもが持つ天から授かった才能です。
10歳児の驚異(内容はある意味脅威なのですが...)の発明と大陸大横断、
家族にもコミュニティーにも記憶に影を落とす事故、膨らむ空想と妄想と普通の日常と
突飛さも平凡さも交錯しながらかつ躍動しながら、
達者な俳優陣による、笑いと涙の数々を振りまく物語。
終演後、静かに席を経つ観客には
どこかしら「満ち足りた」空気が漂っていたような。
乱れのない静かさがそれを物語っているように感じられました。
”天才・わたし”の想いは、はて何だったのだろう・・・
この人生の大切な記憶を思い出すきっかけにもなる映画時間。
”天才○○○”
あなたも天才・自分を探してみて下さいね。
エンドロールの一言ひとつひとつも見逃さず、聞き逃さずに。。
『天才スピヴェット
(The Young and Prodigious T.S. Spivet)』
TS役のカイル・キャレット...可愛いすぎます。
俳優を続けるのかしらね・・彼は。