August 22, 2018
観たい!と軽く思いながら口にしたところの友人のこのひと声に、
こちらも「意外だわ!」になる表情。
そう言われるなんて...とつぶやく心の中。
どこかで見たことがあるぞ、と心が反応するアイコンたちに湧くのは
親しみ以外のものはない。
地面も壁も、紙も布も、二次元である平面すべてがカンバスとなって描かれる
極太線キャラ達が遊ぶ世界、展覧会というその空間には、
キースヘ・リングの頭と心の中の世界で満ち満ちている...。
上手な落書きなんだけれど....
跳んで、転んで、笑って、泣いて...
様々な姿態の表情のないアイコン達は
強烈なメッセージを観る者の気持ちに打ち込んでくる。
直球ばかりの球は、世の中に数多の疑問を抱くわが心にも
バシバシとジャストミートする連続。
その痛さが心地よいくらいに。
ストリートアートの先駆者とも言われる彼である。
もちろん描き手ではあるのだけれど、
描いている、動いている彼自身が、作品に現れる数多のアイコン達以上に
動く絵画、メッセンジャーだ...。
彼が好んだというTOKYO・表参道で繰り広げた路上パフォーマンスのスナップやビデオから、
描きまくる彼、見物人と対話する彼、
そこで見せる彼の姿そのものが鮮やかなメッセージを飛ばしてくる。
著名画家である一方で、自らがAIDS罹患者になったことをきっかけにスタートした
社会慈善事業の事業家でもある。
AIDS撲滅活動や恵まれないこども達への支援を惜しまなかったキース。
人心に不変に存在する偏見や差別、戦闘心の
先にあるものでもあり源でもある「和」に還るための活動にも専心していたらしい。
”意外”...と言われても当然なほどにポップアートはさほど好みではない
古典好みのわたし、である。
けれど、社会に対する目線とその中の優先事項、の共通性は意外でもなんでもない
彼とわたしは一緒の”気持ち”を確かに共有していた。。。。
(”こども達の今と未来”を想う目線については、特に同じ...)
”意外だ”と映るもの。
そこには、対極でもある同一性の種も、まま存在する。
私の中にある「POP」、はちゃめちゃなまでのそれが再び目覚めたがために
この展覧会に向かわせたのか...?
観賞者の気分をもすっかりキース・カラーに染め上げる会場をあとにして数日、
お転婆とおとなしいお嬢ちゃんが見事に共存していた幼い頃の自分が
きょうもここに居る。
意外性...おとなになってからのキャラクターが反転すれば、
元々の自分になる....。
どこまでも自身に素直だったキースのエネルギーに触発されて
今となっては意外な存在になった「素のわたし」が、
その日、そこに居た。
今か今かと全開になる時間を虎視眈々としながら
静かにきょうも私の中で「意外な私」は、その瞬間を伺っている。
次に彼の作品に会うのはまたNYになるのか。
どこで再会しても
共通項の想いは同じである。
願わくは、「意外な私」の顔がいつもの顔である、
その時に会っていられますように。
**掲載写真はすべて展覧会内にて撮影許可されたものを使用しています。
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拠点として主に活躍したニューヨークのイメージが強いキース・へリングですが、
日本にも彼の美術館があるようですね。
山梨県の自然豊かな森の中に佇む近代洋式の建築物の美術館で
彼の頭と心の中に存分に浸ることができそうです。
『中村キース・へリング美術館』
〒408-0044
山梨県北杜市小淵沢町10249-7
mak5 at 14:00│Comments(0)│
│心もよう