June 27, 2018
Swan Lakeがおとなの恋なら、少し若々しいのがDon Quixoteの恋物語。
場内で声を上げてしまうほどの笑いを振りまく振り付けに笑い、
馴染みのものよりはかなりラブリーな衣装には、心も華やぐ。
コメディタッチのストレートプレイを見ているような気軽さだけれど、
キトリ、本演目のプリマドンナ、のピルエットは
回転回数が増すほどに、圧巻を超える圧倒的な感動をじんわり胸に巻き起こす。
幾度となく見せ場となる彼女のピルエット、ダブルピルエットには
“ブラボー‼︎“と声を出して伝えずにいられない、sの軽さと完璧さ。
ミクロ単位でも軸足がずれない、
スリムでも強靭な体幹の真っ直ぐさが作る垂直 X 水平回転の美は、
観客席でくつろぐわが背中も真っ直ぐになるようなエネルギーを伝えてくる。
1幕、2幕、3幕と進むうちにプリマ級も群舞も、
それぞれのダンサーは完璧なまでに一つになりつつも、
舞台上も観客席もどちらにも緊張はない。
劇場全体が穏やかな一つの輪になっていく。
オケの乱れることない滑らかな旋律を自然なBGMにしながら。
万雷の拍手とアンコールの盛り上がりで締める数分間。
ダンサーもオケ代表の指揮者も、観客もそれぞれが200%の出来、の満面の笑み。
その笑みをもたらしてくれた舞台スタッフ、そして劇場スタッフ全てあっての
感動である。
”Enjoy your show!” と笑顔で送り出してくれたチケットブースの彼の言葉に、
“Absolutely, it made me overwhelming “ と答えたい。
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*アメリカン・バレエ・シアター
American Ballet Theatre)
:ニューヨークに本拠をおく
世界最高峰のバレエ団の一つ。
アメリカ最大のバレエ団として
ニューヨーク・シティ・バレエ団と並ぶ。
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バレエには、MCとしてアナウンスの仕事で関わったことがあります。
ジュニア選抜であると同時に世界的なコンクールにも繋がる場でありましたが、
ジゼル、ドンキホーテを課題曲にする方が圧倒的に多かった記憶があります。
そのせいかドンキホーテの主演キトリには、どちらかというと
もっと気が強いアグレッシブな女性の印象を持っていましたが
ABTの本公演では、キュートで愛らしいキャラクターとそれに合わせた衣装に仕上がっています。
主演の彼女の素晴らしさと同じく、フラワーガール役の二人のうちの一人にも
将来のプリマドンナを見つけたような。才能とは群舞の中でも光を放ちます。
そんなこんなの楽しみ方も多様な、満足の時間でした。
ABT の公演本拠劇場は、周囲には名門ジュリアード音楽学院もある一角に建つ
メトロポリタンオペラシアター。
学術の香りも混じるエリアをあとにして、用事で降り立ったのはブロードウェイ。
パルファンの匂い立つような舞台と人の汗が匂う舞台、
異なる香りの舞台芸術のエリアをたまたま歩きながら湧く思いがありました。
どちらも同じ舞台芸術ながら、音楽&踊り、そして、芝居のいずれも
経験してきた身として思うのは、
音楽と踊りは観る側の者、芝居は観せる側の者である、私には。
芝居制作により感覚が近い放送メディアにこだわるのは、その感覚があるから
とも思えます。
とはいえ、踊りも歌も大好き。
クラシックバレエってやっぱりあこがれる....
ダンスのウォーミングアップで少しだけかじったクラシックを
少し本格的に習ってみよう...かしらね。