つれづれなるままに・・・meteorologist, announcer, narrator, writer : miura mayumi Officical blog.
桜まじ春分

March 20, 2013

DSCN4472『 .....神去村(かみさりむら)には何もない。

遊ぶ場所もコンビニも服屋も食べ物屋もない。

あるのは村を何重にも取り囲む山また山。......』


ほぼそんな場所に育ったせいか、

主人公・勇気の長い自己紹介を読むうちに

”神去村”の世界にすんなりと入り込みました。




横浜出身、サラリーマン家庭に育った平野勇気、若干二十歳。

まさに都会っ子の彼が、何の因果か三重県の山奥にあるというこの村で

地元大手の中村林業の社員としてチェーンソー片手に仕事をしています。


何もない所.....ですが、村の住民は強烈な何かがある人ばかり。

勇気の同僚であり間借り先の家長ヨキは金髪短髪でガタイ良し、

やんちゃはヨキに時には嫉妬の鬼と化す心キュートな妻のみきさん、

勇気曰くの”しわくちゃ饅頭”とはいえ

村の叡智かつ長老とも言われる80歳のしげばあちゃんと、

同居するにはエネルギーが要りそうな面々です。


そこに、神隠しやらお稲荷さんの天罰を受けた村人やら、

精神的にもイケメンの中村林業社長一家に、勇気のほろ苦くも甘い片恋の人等等。

それぞれの粒だった個性の村人達は、何もない村だからこそ、

その個性を、その人生を、自由に生きているように見えてきます。


『神も動物も植物も人も、何もかもいっしょくた』の神去ファンタジーと

勇気が言う、夢と現の境にあるような村の日常が、

異文化で育った勇気の新鮮な驚きとともに軽妙洒脱に語られていきます。

それは茶碗の中の嵐的なものから人智を越えた出来事まで様々ですが、

どれも都会に暮らす人々の人生の出来事と何も変わらないものなのだ....

と、ある日勇気は気づきます。そして、読み手である私たちも。


何もない村にも、何でもある街・大都会にも

あらゆる営みの根底には、全てに通じるある「支え」がってこそ、という気づき。

その「支え」とは・・・。

勇気は、自らの心を噛み砕くようにして丁寧にそれを語ってくれています。

あらためて問うまでもなく、読むまでもなく、

その答えを出せる方も多いかもしれません。

ですが、この物語の中にある彼の言葉を探して、

ご自身の「支え」についての答えと付き合わせてみて下さいね。


DSCN4474言葉や表現は違っても「言いたいことは同じ。」

他者と自分の間にある、あるつながり、という別の気づきがあるかもしれません。


「何もない所には、全てが有る。」


物語の世界の神去村で、

リアルの世界に”有るもの”を探し出せることでしょう。


*こちらでも紹介しています!:
『Jcastモノウォッチ−BOOKウォッチ』〜『神去なあなあ夜話』


神去なあなあ夜話
『神去なあなあ夜話』
三浦しをん・著  [徳間書店]




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★★☆ こちらへも起こし下さいね。。

スナップショット 2012-06-04 11-35-13

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mak5 at 11:05│Comments(0)TrackBack(0)  | つぶやき

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